1.耕畜連携

サステナブル和牛熟から出た堆肥は完熟させた後、近隣の米や野菜の生産農場に提供しています。その堆肥で育ったお米から出る稲わらやトウモロコシを引き取り、TMRの原料としています。また、同じように堆肥で育った、さつまいもを食品加工会社が製品化し、その過程で出る副産物(加熱処理されたさつまいも残渣)も引き取り、TMRの原料に使用しています。

2.TMR(完全混合飼料)の自社製造

食品製造副産物(さつまいも、醤油かす、豆乳かす、そば等)を使用したTMRを製造しています。食品製造の過程で排出される切れ端、絞り粕、規格外品など、これまで処分されていた副産物を引き取り、飼料の原料として再利用しています。人間の食用として製造されたものの副産物であることから、栄養価が高く、飼料効率も良いため、飼料原料としても優れています。

2種類のTMRを使い分けています

おから・そばベース

さつまいも・デントコーンベース

肥育・繁殖ともにTMRを与えていますが、どちらも必要な栄養を出荷まで安定して与えるため、原料の成分検査や製造されたTMRの細菌検査を定期的に行っています。

原料(食品製造副産物等)

島根県内で栽培されたさつまいもやデントコーン、島根県内の食品製造工場から引き取ったそば、おから、醤油かす等を使用しています。

さつまいも

干し芋の原料として使われ、製品化されなかった部分を引き取って飼料原料にしています。干し芋製造の過程で蒸してあるため、栄養の吸収率がよいところも利点です。このさつまいもはサステナブル和牛熟の堆肥を栄養源として育ったものです。

デントコーン

実・葉・茎全てを粉砕し原料化しているため廃棄部分がありません。
このデントコーンもサステナブル和牛熟の堆肥を栄養として育ったものです。

そば・おから・醤油かす

良質なタンパク質、食物繊維、ビタミン等を多く含み、牛の健康維持に効果的な原料です。また、うまみ成分であるアミノ酸を豊富に含み、おいしい牛肉づくりにもつながっています。

3.メタンガス排出抑制への取組

牛は4つの胃を持ち、牧草や飼料を第一胃(ルーメン)で消化する際にメタンガスを産生してゲップとして排出します。メタンは二酸化炭素(CO2)と並ぶ温室効果ガスの一つであり、メタンの温暖化係数はCO2の約25倍とされています。牛から排出されるメタンの地球温暖化への関与は大きいといえます。

牛からのメタンガス排出を削減するために自社製TMRへの「カシューナッツ殻液含有飼料」の添加が有望と考えられたことから、実証試験を行い給与前後でのメタンガスの測定を行った結果、メタンが最大63%削減されていたとのデータを取得しました。

※カシューナッツ殻液は第63回農業資材審議会資料分科会で牛メタン削減効果のある飼料添加物に指定することが了承され、農林水産大臣に答申されています。

サステナブル和牛熟での実証実験におけるメタン測定結果

『サステナブル和牛熟』における温暖化ガス削減が測定に基づく数値として記録され、実証試験(ファクト)として証跡化されました。
→「サステナブル和牛熟Refeeding Program」×「カシューナッツ殻液飼料」=「メタン削減」が実証されました。

4.日本初の宮大工による牛舎建築

今まで廃棄されていた社寺仏閣の端材を再利用して牛舎を建設しました。
工法には日本の社寺仏閣建築の伝統技法が応用された日本初の牛舎であり、安全性・耐久性に優れています。

5.牛床への工夫

ひのきのかんなくず、茶葉、コーヒーかす等を、かんなくずやのこくずに混ぜて牛床に使用しています。
これらのアロマ効果により清潔な牛舎を保ちつつ牛のリラックス効果にもつながっています。

6.カーボンオフセット

島根県飯南町より20トン分の二酸化炭素排出権を購入しています。
牛舎内で使用する重機や牛の運搬に使用するトラックから排出される二酸化炭素を、飯南町の豊かな森林の吸収率とカーボンオフセットするための取組です。